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江戸菊
  

文化文政期に江戸で流行した「中菊」、「芸菊」は現在江戸菊と呼ばれる。一番外周の花弁は匙弁、内弁は平弁であり、花期に至って、普通に開花し、重なりの少ない物程、中心部に花弁の無い(理学的にはある)黄色の新が露出する。普通のキクはこれで咲き終わりで後は老化し凋む。ところが、この中菊なるものは、露芯してから外周の匙弁を残して内部の平弁は上部半分程度が、外側を内に、内側が外へ反転し、さらに中間部分から折れ曲がる動きを見せ、毎日変化しつつ約10日ほどでその品種の特性としての、褄折抱え、丸抱え、追抱え、立抱え、露芯抱え、乱れ抱えなどの芸がきわまって、10日から15日その形を保って終わりを迎える。静かなる花に動きを求め、それを品種改良という行為によって成し得てしまった、江戸の粋というか、遊び心というか、世界に例を見ない品種改良の方向性であり、敬服の至りである。(青幻舎巻:「江戸の花競べ」より)


監修:小笠原左衛門尉亮軒
江戸系の品種は、一茎一花として咲かせないと本来の”花芸”をしません
雲雀の床 酔美人 下谷銀星 下谷藤娘
春偲 花曇 黄八丈 黄金の光
八幡山 桜姫 春日 江戸の錦秋
丘の曙 荏原紫王 花散里